ベトナムのハノイで開かれている東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合は22日、声明をまとめて閉幕した。日本からは世耕弘成経済産業相が出席し、貿易ルール分野の交渉を加速するよう主張した。
交渉には日本、中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加。ルール分野を含めた高いレベルの協定を目指す日本などと、早期妥結を優先する中国などとの意見の対立が続いている。
交渉関係者によると、世耕氏は9月までに交渉項目ごとに優先順位を付け、進み具合を管理してバランス良く交渉するよう提案した。関税などの分野に議論が偏っていたことを懸念したためで、知的財産などルールについても交渉を推進すべきだとの考えが背景にある。
世耕氏はこのほか、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と異なり、参加国の経済発展の違いが大きいことにも配慮。ラオス、カンボジアなどを念頭に、途上国の発展段階に応じて特例措置を設ける考えを提案した。
年内は7、10月に事務レベル交渉会合、9月に閣僚会合を開き、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に向けて交渉が進められる方向だ。(ハノイ 共同)
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【用語解説】東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する10カ国に加え、日本や中国、インドやオーストラリアなど計16カ国で交渉を進める経済連携協定(EPA)。関税の引き下げや投資、知的財産保護などの分野で自由化のルールづくりを協議している。実現すれば、世界の半分に相当する人口約35億人、国内総生産(GDP)や貿易で世界の約3割を占める広域経済圏が誕生する。(ハノイ 共同)