【ソウル=名村隆寛】韓国最大の財閥、サムスングループの経営トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長(48)の逮捕は同グループだけでなく、「サムスンが牽引(けんいん)している」と言っても過言ではない韓国経済にも悪影響を及ぼすことが不可避な情勢だ。
サムスンは李容疑者の祖父の李秉●(ビョンチョル)氏、父の李健煕(ゴニ)氏の経営で、韓国経済の成長に貢献してきた。韓国でのサムスンの存在は絶大で、国内総生産(GDP)と輸出の約20%を占める。トップが逮捕されたのは設立以来初で、「起業79年で最大の危機」(韓国メディア)に直面した。
五輪の公式スポンサーでもあるサムスンは、世界で最も知られる韓国企業だ。韓国では全く関係のない者までがサムスンを誇る。しかし、昨年、サムスンブランドのスマートフォンが各国で発火事故を起こし、ブランドに傷がついた。
経営トップ逮捕を受けサムスンは17日、「今後の裁判で真実が明らかになるよう最善を尽くす」とコメントした。だが、国際的なイメージの一層の低下は、避けられそうにない。各国からの取引停止といった制裁を受ける可能性までも出ており、サムスンは災難に見舞われ続けている。
李容疑者の逮捕を受け、17日のソウルの株式市場ではサムスン電子の株価が一時、前日終値比で1%以上下落した。グループ傘下の他企業の株も下げた。