100億円超のサファイア発見… 世界最大級の宝石が眠る街 今も人力で採掘

 インド洋に浮かぶ島国のスリランカは、古代よりサファイアなど宝石の世界的な産地だ。現地で話されるシンハラ語で「宝石の街」と呼ばれる南部ラトゥナプラの周辺では、ヤシの木が茂る水田に数百カ所の採掘場が点在。今も人力で坑道を掘り進め、貴重な原石を探している。

 「ルビーにトルマリン…。原石は田んぼの地下に集まっている」。ラトゥナプラ郊外の水田に掘られた深さ約30メートルの掘削井の脇で、採掘場経営者のトシャン・ボガハワタさんが胸を張る。井戸の底では作業員らが手とクワで横穴を掘り木材で壁を補強し、原石がわずかに混じった泥をすくい上げていた。

 泥から原石を選別して市場で売り、それを歩合で分ける。ボガハワタさんは「半年前に時価1000万スリランカルピー(約757万円)のサファイアを見つけた」と話す。

 国立宝石局によると、スリランカは国土の約8割から70種類以上の原石が採掘できるとされ、ラトゥナプラ地域が特に豊富だ。英国の故ダイアナ妃からキャサリン妃に受け継がれたサファイアの指輪もスリランカ産という。2015年には約1404カラットで世界最大級のブルースターサファイアが発見され、少なくとも時価1億ドル(約114億円)と伝えられた。

 ただ、09年の内戦終結後、スリランカは経済成長で人手不足となり、炎天下の採掘現場は若者には不人気に。環境面への配慮から重機導入は難しく、採掘業者はかつて水田で行っていた選別作業を施設に集約して実施するなど効率化を図っている。

 採掘歴15年のバサンタ・タンティリゲさんは「占星術でこの仕事に向いていると判断された。土を見れば、近くにサファイアがあるか分かる」と誇らしげに語った。(ラトゥナプラ 共同)