1990年代の改革の成果と石油価格の高騰により、ロシアは2000~08年に年平均7%の経済成長を達成。その後はしかし、地下資源に依存する国家主導型の経済が硬直化し、頭打ちが鮮明になっている。前出のトラービン氏は「プーチン氏が真剣な改革に取り組むとは考えられず、ロシア経済の長期的な停滞が続くだろう」と語る。
それでも「1990年代の再来」を恐れる国民の多数派に、変革を求める大きな動きは出ていない。トラービン氏はこう話す。「今より状況の悪かった70~80年代にも、飢えるほどではないとして人々は耐えた。強力な特務機関が反発の表面化を抑え、指導部内の対立もなかった。今日も、この3つの条件が維持される限りはプーチン体制が続くのではないか」