日露経済協力の目玉はエネルギー協力 調達多角化で中東などとの交渉優位に

2016.12.15 21:17

会談するロシアのプーチン大統領(中央左)と安倍晋三首相(同右)。右端は世耕弘成ロシア経済分野協力担当相、右から2人目は岸田文雄外相、左から2人目はロシアのラブロフ外相=15日午後6時9分、山口県長門市の大谷山荘(代表撮影)
会談するロシアのプーチン大統領(中央左)と安倍晋三首相(同右)。右端は世耕弘成ロシア経済分野協力担当相、右から2人目は岸田文雄外相、左から2人目はロシアのラブロフ外相=15日午後6時9分、山口県長門市の大谷山荘(代表撮影)【拡大】

 日露首脳会談で合意を目指す8項目の経済協力プランでは、ロシア最大の産業であるエネルギー分野が最大の目玉になる。世界一の液化天然ガス(LNG)消費国である日本にとって、ロシアの豊富な資源は魅力的だ。

 今回の経済協力プランでは、極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」でのLNG設備の拡張や、北極圏・ヤマル半島のLNG開発事業への投資などが盛り込まれる見込み。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)もガス田や油田開発に向けた調査でロシア企業と協力する。

 日本が調達するガス価格は、中東諸国の影響が大きい原油価格に連動した長期契約が中心で、産出国と消費国の直接取引で決まることが多い。自由化が先行する欧州や、シェール革命が起きた米国でガス価格が低下するなか、割高な取引を強いられている。

 日本はLNG輸入量の8・5%を占めるロシアとの取引を拡大し、供給力の確保だけでなく、調達先の多角化を通じて中東諸国など他の取引先との交渉を優位に進めたい考えだ。また、地理的に近い極東地域でLNG基地が整備されれば、急な需要増加にも柔軟に対応できるようになる。

 ただ、サハリン2に出資した英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと三井物産、三菱商事が平成18年、ロシア政府の圧力を受け、政府系企業ガスプロムへの経営権譲渡を迫られた。投資リスクを払拭できるかがプロジェクト実現のカギを握る。(高木克聡)

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