2017年度税制改正は、パート主婦世帯などの税負担を軽くする配偶者控除の対象拡大や、麦芽比率などで異なるビール類の酒税一本化など身近なテーマが盛り込まれた。主婦や子育て世帯は働きやすくなるが高所得の世帯は負担増になる場合があるなど、立場によって明暗が分かれることになりそうだ。
出勤日増やせる
「今までより、働く時間を増やせそう」
川崎市の病院で医療事務のパートをしている主婦(40)は笑顔を見せる。以前から上司に出勤日を増やせないか頼まれていたが、年収が103万円を超えると配偶者控除が受けられなくなるため、躊躇(ちゅうちょ)していた。
今回の改正では、夫が満額38万円の配偶者控除を受けられる妻の年収要件を103万円以下から150万円以下に引き上げた。201万円までは控除の一部が受けられる。
ただ、この主婦は小学校低学年の子供を抱えているため、「それほど多く働くつもりはない」ともいう。
政府の試算では、妻の年収が141万~150万円で高校生と大学生の子供2人の世帯の場合、所得税と個人住民税を足した減税額は夫の年収が500万円なら年5万2000円、1000万円で10万9000円になる。
一方、夫の年収が1220万円を超えると控除が全くなくなり、夫の年収が1500万円の専業主婦世帯では年15万8000円の増税になると試算されている。