政府・与党は、今の経済社会の実態にそぐわなくなった所得税の控除制度全体を刷新する青写真を描く。専業主婦世帯らの税負担を軽くする「配偶者控除」の見直しはあくまでもその初手。平成30年度税制改正では、高所得者ほど税軽減の効果が大きい「所得控除方式」の見直しを検討し、それ以降も広範な控除の再設計を数年がかりで進める方針だ。
日本の所得税に主に採用される所得控除方式は、世帯主の年収から一定額を差し引いた上で税額を計算する仕組みで、税率の高い高所得者ほど減税額が大きくなる。所得格差の是正に向け、年収に応じて控除額を段階的に減らす案や、所得の大きさに関係なく一律に同額の減税が受けられる「税額控除方式」への移行案を検討する。
会社員が受ける「給与所得控除」の縮小も検討課題。企業に属さずに働き、同控除が受けられない人も増えているからだ。年金受給者に適用される「公的年金等控除」も恩恵が手厚すぎるとの指摘があり、縮小を検討する。一方で、働き方や所得の種類にかかわらず、納税者であれば誰でも受けられる「基礎控除」は拡大したい考えだ。