配偶者控除の見直しは議論が迷走し、当初の思惑と違う方向に行った。専業主婦だけ優遇されるのは中立的でないため廃止し、制度を新しくしようということで始まった。だが選挙への配慮から「廃止はけしからん」ということになり、結果的に適用が拡大された。
責任は政府税制調査会にある。妻の年収を問わず適用する「夫婦控除」の導入を俎上に載せたが、具体案を示さず、国民に中身が伝わらなかった。抜本改革の第一歩となるはずが、入り口からつまずいた格好だ。
麦芽比率などで税率が異なるビール類の酒税一本化は評価する。ビール業界は税負担軽減に注力してきたが、今後は研究開発を強化し、味や機能性で伸ばせるようになる。