「君の名は。」中国で快進撃 異例の早期公開、韓流排除も影響か (1/2ページ)

2016.12.7 18:10

6日、北京市内の映画感に設置された映画「君の名は。」の広告幕(西見由章撮影)
6日、北京市内の映画感に設置された映画「君の名は。」の広告幕(西見由章撮影)【拡大】

 【北京=西見由章】日本のアニメ映画「君の名は。」が巨大な映画市場を抱える中国でも快進撃を続けている。海外作品の上映本数が制限されている中国では、検閲や改編で公開まで長期間を要するのが一般的だ。同作品が早期公開に至った背景には、韓流映画を排除する「禁韓令」など中国側の政治的な思惑も見え隠れする。

 公開後初の週末となった3日午後、北京市中心部のシネコンでは若者を中心に7割前後の席が埋まった。20代男性は「映像も美しかったが、なにより脚本が素晴らしい」と完成度の高さを絶賛。「もう一度、一人でじっくり見たい」(20代女性)とリピーターの多さを予想させる声もあった。

 中国の映画専門サイト「猫目電影」によると公開6日目となる7日現在の興行収入は3億5000万元(約58億元)を超えた。ユーザーによる平均評価も10点満点で9・4と公開中の作品ではトップで、当面勢いは衰えそうにない。

 同作品のスムーズな公開には中国の政治状況も影響している。映画専門誌「影視圏」(電子版)によると、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐり日中間の緊張が高まった2013、14年に公開された日本映画はゼロ。一方、今年は「君の名は。」を含め10本に上り、うち8本がアニメ作品だ。

 日本映画への追い風になったのが、韓国のコンテンツを中国から締め出す「禁韓令」の存在。米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を決めた韓国への報復措置だ。同誌によれば、例年3、4作品公開されていた韓国映画が今年は一本も上映されていない。その隙間を埋めたのが日本映画というわけだ。

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