政府、与党が大枠を固めた2017年度税制改正では、軽井沢スキーバス事故を受け、安全性の高い新型バスを導入した事業者への減税措置を創設。太陽光発電などに投資するファンドの法人税非課税も3年間延長し、再生可能エネルギーの普及を後押しする。
新型バスの税優遇は、今年1月に長野県軽井沢町で起きたスキーバス転落事故の再発防止策の一環。貸し切りバス事業者が最新の安全技術を搭載した大型バスを導入した場合、当面1年間の時限措置として自動車重量税と自動車取得税を軽減する。
再エネ投資の非課税措置は、太陽光や風力の発電設備を対象とする投資法人を育成するのが狙い。再エネ設備の取得期限を現行の「16年度末」から3年間延長する。
このほか、海運事業者の経営安定に向けた税制も拡充する。貨物の積載能力に応じて一定額を課税する「トン数標準税制」の対象に、日本の船主が海外子会社を通して事実上所有する船舶も新たに加える方針だ。納税額が一定となり、投資計画を立てやすくなる。
非上場企業の後継者が株式を受け継ぐ場合に相続税や贈与税の納税が猶予される「事業承継税制」も、より利用しやすいように見直す。受け継いだ後5年間の平均で雇用の8割以上を維持することを求めている現在の適用要件を緩和する。
本社機能を東京23区から地方に移した企業に対するオフィス投資費用の減税は、段階的に縮小していく方針を転換し、16年度水準を維持。受動喫煙対策としてのたばこ税引き上げや、市街化区域にある農地の相続税を猶予する特例の拡充は長期的な課題とし、17年度は実施しない。