主要経済閣僚固まる 目立つ「米国第一」「保護主義」 日本のGDP1%超下げの試算も (2/2ページ)

 一方、次期政権は対外政策では「保護主義」の看板を下ろしていない。トランプ氏は日本の米国に対する輸出の多さを批判したこともあり、今後円安ドル高が進んだ場合には、通貨政策の責任者となるムニューチン氏が日本に円安是正を求める可能性がある。

 また、ロス氏は自由貿易に賛成だが、米国に「不公平」な内容は反対だ。北米自由貿易協定(NAFTA)見直しでメキシコから米国への輸出品に高関税が課されれば、メキシコに拠点を置く日本の自動車メーカーが打撃を受ける。

 ロス氏は日本がいまなお発効を目指す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)にも反対している。国際的に自由貿易機運が後退すれば、世界全体の貿易量が減少して世界経済の成長が鈍化し、日本経済にも悪影響が及ぶ。

 大和総研は、トランプ政権誕生で円高、株安、世界経済の縮小が大幅に進めば日本のGDPが1・12%引き下げられると試算した。

 日本政府はロス氏が知日派であることを利用するなどさまざまな手段を通じ現実路線にかじを切るよう働きかけが求められそうだ。