GDPがプラスを維持したのは、米アップルの「iPhone(アイフォーン)7」向けなど電子部品の輸出好調という一時的要因もあった。
本格的な景気持ち直しには個人消費による内需拡大が欠かせないが、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「消費税増税のインパクトが2年たっても消えていない」と指摘。「アベノミクスで格差は拡大しており、物価が下がらないと消費は戻りようがない」と現状の難しさを分析する。
消費や物価の押し上げには賃金上昇が欠かせない。安倍晋三首相が経済界に来春闘での4年連続の賃上げを要請したのも消費低迷への危機感の裏返しだ。
「過去3年と違う」
だが、首相の思い描くような賃上げの実現のハードルは高い。上場企業の2017年3月期決算は、本業のもうけを示す営業利益が5年ぶりに減益となる見通し。円高やデフレで「稼ぐ力」が低下している企業は「過去3年と状況が違う」(大手メーカー)と早くも反発している。米国のトランプ次期大統領は保護主義的な立場をみせており「日本に輸入を増やすよう圧力をかけてくる」(金融筋)との警戒感もある。「政府主導」しか賃上げの道筋が見いだせない状況は、デフレ退治の政策の手詰まりを映し出している。