官製春闘にデフレ再燃の「壁」 首相、経済界に4年連続で賃上げ要請 (2/3ページ)

 消費者の節約志向を受け、企業は販売戦略を相次いで転換している。ミスタードーナツは今月8日に多くの商品を10~30円安くした。流通大手のイオンもプライベートブランド(PB)のうち売れ筋の約30品目を11日から値下げしており、販売戦略の見直しは急速に拡大している。

 安易な値下げ競争は業界全体の体力を奪いかねないもろ刃の剣。それだけに「一時期のような泥沼の価格競争は避けたい」(関係者)との声が漏れる。外国人観光客による「爆買い」が下火になり、苦境の百貨店業界は「サイズを縮小せざるを得ない」(三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長)と悲観的だ。

 7~9月期の国内総生産(GDP)が3四半期連続のプラス成長だったことを受けて、菅義偉官房長官は14日の記者会見で「緩やかな回復基調が続いていると政府は認識している」と強調した。しかし実際は全国消費者物価指数が7カ月連続でマイナス圏に沈むなど、アベノミクスが掲げる「脱デフレ」は依然として見通せない。

 2%の物価上昇に強気の姿勢を続けてきた日銀の黒田東彦総裁は「簡単にデフレマインドを払拭できない」と任期中の目標達成を事実上断念した。経済官庁幹部からは「結局、金融政策だけでは無理だった」と諦めの声が漏れる。

「消費税増税のインパクトが2年たっても消えていない」