またトランプ氏の当選で米政府とFRBとの信頼関係が揺らぐとの観測もある。トランプ氏は選挙戦でFRBのイエレン議長についてオバマ大統領を助けるために低金利を続けていると批判してきたからだ。一方のイエレン氏は12月の利上げを見据えてはいるが、経済の不透明感が広がったことで、かえって利上げに動きにくくなっている。
さらにウォール街にとってはトランプ氏がちらつかせる規制強化も悩みの種といえる。トランプ氏はこれまでクリントン氏とウォール街の親密な関係を度々批判。10月下旬の演説では、21世紀型の「グラス・スティーガル法」が必要だとまで述べた。1999年に廃止された同法は銀行業務と証券業務の兼業を禁じる内容で、手足を縛られることになるウォール街にとっては「悪法」だ。
一方ではトランプ氏勝利がもたらす「不確実性」への不安は一時的なもので、トランプ氏はビジネスマンとして現実的な政権運営に向かうとの期待もある。しかし「予測不可能」を信条とするトランプ氏の勝利はやはり金融市場の波乱要因だといえそうだ。