ＴＰＰ採決再延期　野党は農水相不信任へ

　自民、公明両党は７日、環太平洋戦略的経済連携協定（ＴＰＰ）承認案と関連法案について、８日の衆院本会議での採決を断念した。１０日の衆院通過を検討する。今月３０日までの国会会期内に参院で必要な審議時間を確保できないとの見方が強まっており、会期延長は必至の情勢だ。民進党は問題発言が続いた山本有二農水相の不信任決議案提出を巡り共産党などとの調整を続けた。

　与党関係者によると、８日午後にナザルバエフ・カザフスタン大統領の国会演説が予定されており、承認案の採決に踏み切って国会が混乱するのは避けるべきだと判断した。野党側の軟化も期待し、当初４日としていた採決日程を再び先送りした。

　自民党は７日午後、衆院議院運営委員会理事会で８日の本会議開催を打診。地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の承認案などを採決し、ＴＰＰ承認案と関連法案は取り扱わないと提案した。民進党は受け入れた。

　安倍晋三首相は自民党役員会でＴＰＰ承認案について「与党と力を合わせ（今国会での）成立へ努力したい。党の一層の協力を要請する」と強調した。

　民進党の野田佳彦幹事長は記者会見で、山本氏への不信任決議案提出方針に変わりはないとの認識を示した。「採決日程を延期しても、山本氏が（辞任せず）残っている。大きな障害がある」と述べた。民進党は山本氏への不信任案の扱いについて、蓮舫代表と野田氏に対応を一任した。８日の提出は見送る。