【ワシントン=小雲規生】米ホワイトハウスは3日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が成立せず、米国が加わっていない東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が実現した場合、米国が日本市場への輸出で中国に対して不利になるとの報告書を発表した。TPP不成立のリスクを強調し、米議会にTPPの早期批准を促すことが狙い。
報告書はTPPが成立しなければ約1200万人が働く36万社が日本市場への輸出拡大のチャンスを失うと試算した。そのうえで日中韓などによるRCEPが成立した場合は、中国製品にかかっている関税が現在より中央値で5・1ポイント下がる一方、米国製品への関税は下がらないと分析。この結果、約470万人が働く米国の約16万2千社が不利になるとしている。
米通商代表部(USTR)のフロマン代表は3日の電話記者会見で大統領選からオバマ大統領の任期末までのレームダック期間中のTPP批准について「決してあきらめていない」とし、オバマ氏がTPP実現に向けた努力を続けていることを強調した。
報告書は経済諮問委員会(CEA)がまとめた。交渉中のRCEPが実現すれば、すでに発効している日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の包括的経済連携協定と同じペースでの関税引き下げが中国にも適用されると想定している。