環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認案と関連法案の強行採決発言を「冗談」とした山本有二農水相の進退をめぐり、与野党の攻防が2日激化した。自民党は、野党の山本氏更迭要求に対し、安倍晋三首相は辞任させない意向だと通告。民進党は山本氏への不信任決議案を衆院に提出する検討に入った。衆院TPP特別委員会の塩谷立委員長は4日の委員会開催を職権で決定。民進党は「断固たる対応を取る」と抗議した。
自民党の竹下亘国対委員長は、民進党の山井和則国対委員長と国会内で断続的に会談。4日の特別委で採決し本会議に緊急上程する案を打診したが、民進側が反発。4日に特別委採決のみを行う案を示したが、物別れに終わった。政権幹部は「あの発言で辞任はあり得ない」と国会内で記者団に説明した。
菅義偉官房長官は記者会見で、山本氏の発言をめぐる与野党対立について「政府としては速やかに審議を進めていただけるよう、一層の緊張感を持って丁寧に説明する」と述べた。
山本氏は2日夕、農林水産省から退庁する際、自らの発言について記者団に「ご迷惑を掛けております」と語った。
山本氏は10月18日、佐藤勉衆院議院運営委員長(自民党)のパーティーで「強行採決するかどうかは佐藤氏が決める」などと言及。その後、発言を撤回し陳謝した。11月1日夜は「冗談を言ったら(閣僚を)首になりそうになった」とした上で「JAの方は明日でも農水省に来れば、何か良いことがあるかもしれない」とも述べた。