エアコンや冷蔵庫の冷媒などに使われ、排出増が懸念される強力な温室効果ガス「代替フロン」について、先進国が製造や使用量を2036年までに85%、発展途上国が45年に80%削減することが決まった。アフリカ・ルワンダで開かれた国際会議で15日、各国がモントリオール議定書の改正に合意した。
11月に発効する地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」と連携して大気への排出を減らす。モントリオール議定書はオゾン層保護が目的だが、規制対象を広げ温暖化対策にも役立てる。
合意を受け、日本は新たに規制対象となるハイドロフルオロカーボン(HFC)の製造の許可制や、輸入時の割当制を導入する方向。18年までの法改正も視野に入れる。
合意によると、日本など先進国は36年までに段階的に85%削減する。率先して削減を始め、19年に最初のステップとして10%減らす。中国など多くの途上国は24年に削減を始め、45年に80%減らす。需要が高いインドや中東諸国は特例を認め、より遅い28年から始めて47年に85%削減する。
日本は冷蔵庫の廃棄時に登録業者の引き取りを義務付け、冷媒を大気中に漏らさない対策を実施。国内の空調・冷却機器メーカーの多くは、すでにHFCから別の冷媒に切り替えるなどの対応策を進めている。
今後はアンモニアや二酸化炭素(CO2)など自然冷媒への転換や新たな冷媒の開発が必要になる。家庭用エアコンの買い替えも徐々に進みそうだ。
オゾン層を破壊するフロンに代わって普及した代替フロンには、CO2の数百~数万倍も温室効果が高いものがある。専門家は代替フロンの削減で気温上昇を0.5度抑制できるとみている。