日本の巡視船、フィリピンに供与 中国にらみ南シナ海警備強化

 【マニラ=吉村英輝】日本政府がフィリピン沿岸警備隊に供与する全長約40メートルの巡視船計10隻の最初の1隻の引き渡し式および就役式が12日、首都マニラの港で行われた。式典にはドゥテルテ大統領も参加し、「日本はフィリピンへの最大の貢献者だ。(海洋警備協力について)日本の人々に感謝する」と述べた。

 巡視船は日本の横浜で建造され、最初の船は今年8月にマニラに到着し、就役準備を進めていた。機関砲などの装備はないが、防弾のために装甲が強化されている。自国の沿岸海域で違法漁業などの取り締まりや救難活動に従事する。

 日本政府は、南シナ海問題をめぐり中国と対立した前アキノ政権に巡視船の提供を約束。年内に2隻目、2018年半ばまでに全10隻が提供される。フィリピン沿岸警備隊は老朽化した巡視船など約10隻を保有。日本の支援で体制の充実と能力の向上が期待される。

 安倍晋三首相は9月、ラオスでドゥテルテ大統領と会談し、全長約90メートルの大型巡視船2隻の供与も表明した。式典で石川和秀・駐フィリピン大使は、首脳会談で南シナ海問題で「法の支配」の重要性で合意したことにも言及した。