【ワシントン=小雲規生】中国の通貨人民元は1日から、ドル、ユーロ、円、ポンドと並ぶ国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨となる。IMFが国際的な商取引で人民元が広く使われていることや、取引に一定程度の自由度があることを認めた形で、人民元は国際通貨としてのお墨付きを得たことになる。
ただ、ルー米財務長官は9月29日、訪問先のメキシコ市での学生との対話集会で、人民元について、各国政府が保有する国際的な準備通貨の地位に至るには「かなり遠い道のりがある」と述べた。ルー氏は中国が人民元取引の自由化に向けた改革を進めていることに触れながらも、今後もさらなる改革を進めるよう求めていくと強調した。ロイター通信が報じた。
各国が債務の返済や為替介入のために保有している外貨準備の半分以上はドルが占めており、ドルの基軸通貨としての地位は揺らいでいないとの見方が多い。ルー氏は学生から人民元がSDR構成通貨となることの米国への影響を問われ、「IMFが認定する主要通貨になることと、国際的な準備通貨になることは全く違う」と強調した。
SDR IMFが外貨不足に陥った加盟国に、出資額に応じて金融支援のために割り当てる国際通貨。SDRと引き換えに米ドルなど外貨を他国から調達できる。IMFは昨年11月、中国の人民元をSDR構成の5番目の通貨に加えることを決めた。