外国人旅行者らからは「ビールのないバリの休暇なんて、想像もできない」「祝い事には酒の2、3杯は必要」といった声が上がるなか、法案が2020年までに15年比でおよそ2倍となる外国人旅行者2000万人を目指す政府方針に矛盾するとの意見もある。
総人口2億5000万の7割以上をイスラム教徒(ムスリム)が占めるインドネシアだが、政治的には宗教の自由を認め、世俗主義の立場を取っている。ただし、飲酒についての厳しい世論は根強く、規制がたびたび議論の的となってきた。
昨年もゴーベル前貿易相がスーパーマーケットとミニマートでの5%以上のアルコール飲料の販売を禁じる省令を出したほか、地方では今年3月にパプア州が流通・生産の全面禁止に踏み切るなどしている。法案の行方にかかわらず、今後もアルコール飲料をめぐる国内の議論は続いていきそうだ。(シンガポール支局)