中国は、韓国に配備されるTHAADの高性能レーダーによって自国内が監視されるとして反発を強めていた。ただ、北朝鮮のミサイル発射を非難する声明にもかかわらず、そのミサイルに対する韓国の自衛措置であるTHAAD配備をも非難対象にすることに、さすがに韓国外務省当局者からも「本末転倒だ」と批判する声があがった。
「韓流」市場も牽制
韓国・聯合ニュース(日本語版サイト)は「(中国が)安保理常任理事国として、責任ある役割を果たすことを期待する」とした韓国外交部当局者のコメントを紹介したが、自国エゴまるだしの対応はあらたまることはない。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は「『韓流』が中国市場にあふれる現状を見直す機会だ」とする社説を掲載するなど、経済報復も辞さない姿勢をみせている。
朴槿恵(パク・クネ)政権発足以来、韓国は低迷・悪化する対日関係とは対照的に中国との関係緊密化に動いてきた。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟を決断したほか、北京で中国人民解放軍の軍事パレードを観閲するなど「親中路線」を進めてきた。ところが、今回の中国の態度に韓国メディアには、朴政権の「親中路線」を疑問視する声が目立ってきた。