「サツマイモ専用の包装フィルムを開発したことで輸出量が大幅に伸びた」と語る、くしまアオイファームの下出副社長【拡大】
日本政策金融公庫が先月開催した、国産にこだわった展示商談会「アグリフードEXPO東京2016」にも、輸出強化に強い意欲を示す農業者や食品加工業者が集結した。
サツマイモを生産する「くしまアオイファーム」(宮崎県串間市)は、香港やシンガポールに輸出している。熟成させて甘味を強調したイモは現地の富裕層に人気で、年間の輸出数量は300トン。日本全体の2割強を占める民間では最大の業者だ。
輸出量は「10カ月ほど前から大幅に伸びた」(下出淳平副社長)という。その原動力が住友ベークライトと共同で開発した包装袋。サツマイモの呼吸量を整えるため、フィルムには髪の毛の直径程度の穴が開き結露も発生しないため、腐敗しにくく鮮度を保持できる点が特徴だ。今後はドバイなど中東市場も開拓。生ものの輸入規制が厳しい米国やEU(欧州連合)に向けては冷凍焼きイモなど1次加工品で勝負をかける。こうした取り組みにより、3年後の輸出量は10倍の3000トンを目指す。