【ソウル=藤本欣也】韓国の保守系最大手紙、朝鮮日報と朴槿恵(パク・クネ)政権が対立を強めている。情報漏洩(ろうえい)などの捜査の一環で同紙記者が家宅捜索を受けたほか、主筆が辞任に追い込まれる事態となっている。
発端は、同紙が朴大統領の側近、禹柄宇(ウ・ビョンウ)・大統領府民情首席秘書官をめぐる不動産取引の不正疑惑を特報したこと。その後、政府高官の疑惑を調べる特別監察官と同紙記者との通話内容がテレビで報じられ、大統領府は「監察官が記者に情報漏洩した」と非難。検察が8月29日、監察官や記者宅を家宅捜索し記者の携帯電話を押収した。
さらに与党、セヌリ党の国会議員が同紙主筆の「豪華接待旅行」を暴露。粉飾会計を行った企業から豪華接待を受けていた主筆は辞任に追い込まれた。
朝鮮日報側は「記者の家宅捜索は報復なのか」「個人の不祥事と権力の不正報道を結びつけるな」との社説を連日掲載し、政権批判の論陣を張っている。
朝鮮日報をめぐっては一昨年10月、朴大統領の名誉をコラムで傷つけたとして、検察当局が産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を在宅起訴(無罪判決確定)する一方、コラムの引用元だった朝鮮日報側は不問に付されたことがある。