【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)の欧州委員会は30日、米アップルがアイルランドで受けていた優遇税制が、公正な競争を妨げる違法な国家補助にあたると認定し、アップルに対して最大130億ユーロ(約1兆4800億円)の追徴課税を命じるよう同国政府に求めた。欧州メディアによると、EUの追徴としては過去最大規模。
欧州委によると、アップルは同国政府と結んだ税負担軽減の取り決めに基づき2003~14年の間、同国の法人税率12・5%を大幅に下回る0・005~1%相当額しか実質的に納めていなかった。欧州委は取り決めを合法とする一方、他企業よりはるかに優遇することは「違法」とした。
アップル側は「国際的な課税システムに大きな影響を与える」と懸念を表明。アイルランドのヌーナン財務相も「加盟国の課税主権に対する侵害だ」とし、双方とも異議を申し立てる考えを示した。
EUは昨年、米スターバックスに対するオランダの優遇税制も同様に違法と判断。米マクドナルドなどへのルクセンブルクの優遇措置も調査中で、米国では米企業を狙い撃ちにしているとの警戒が強い。米財務省は今回の判断について「欧州でのビジネス環境を損なう恐れがある」との声明を出した。