日銀が「マイナス金利政策」を導入してから16日で半年を迎えた。市場金利の大幅な低下で住宅ローンや投資が活発になる一方、金融機関は収益悪化にあえぐ。また、消費者物価はマイナス圏に沈み、最大の目的である2%物価目標の達成は見通せない。「マイナス金利の功罪は相半ば」(エコノミスト)しており、日銀は9月の金融政策決定会合でこれまでの金融政策を総括的に検証する。
(藤原章裕、万福博之)
「金利の引き下げ効果は非常に大きく、実体経済にもプラスの影響を及ぼしつつある」。日銀の黒田東彦総裁は追加の金融緩和を決めた7月末の会合後の記者会見でこう強調した。
実際、1月末のマイナス金利導入決定前に0・2%程度だった長期金利(新発10年物国債利回り)は7月に一時マイナス0・3%まで低下(価格は上昇)。国内大手5銀行は8月に適用する住宅ローン金利(主力の固定型10年最優遇)を過去最低の水準に設定し、中でも三井住友信託銀行は前月比0・05%低い0・35%とした。
この結果、1~6月の新設住宅着工は46万戸強と前年同期比5・2%増えた。
こうした超低金利環境を受け、JR東日本やJR西日本、三菱地所は満期40年の社債を国内企業で初めて発行。将来の設備投資を見据えた企業の長期の資金調達が活発化し始めた。