【ソウル=名村隆寛】韓国では「光復節」の15日、朴槿恵(パク・クネ)大統領が演説で「未来志向」の日韓関係を訴える一方、国会議員団が竹島(島根県隠岐の島町)に上陸し、日本に刺激的な姿勢を示すという対照的な動きがみられた。
朴大統領は慰安婦問題に加えて竹島にも言及せず、表向きは議員団の行動と一線を画した形といえる。昨年のこの日の演説よりも、昨年12月の日韓合意を踏まえて、さらに日本との関係改善に配慮する様子がうかがえた。対日関係について、「現実的な認識」を持つ必要性を訴える国内向けのメッセージだった。
しかし、議員団の行動が示すように、そうした日本への配慮は世論からはほとんどうかがえない。日本政府の抗議に対しても、「韓国の領土に行くのに無礼だ」(上陸した議員)と、意に介していない。
竹島を実効支配する韓国では、歴代政権が現在に至るまで「独島(トクト=竹島の韓国での呼称)は韓国領」だと主張し続けており、竹島領有の既成事実化は年々強まっている。
朴大統領は自らの演説では対日批判を自制した。しかし、日本を刺激することが分かっていても、竹島に関して日本には譲れず、議員団の上陸は、制止できないのが実情だ。
ただ、今回の竹島上陸に対しては、「独島は韓国領土」と強く主張する韓国メディアの間でさえ、「またも政治的なショーか」といった冷めた見方もある。韓国では竹島は、今や完全に政治家や著名人による“愛国パフォーマンス”の場と化しており、国民はそれに慣れきっている。
こうした雰囲気のなか、政治家による「光復節」をはじめとした日本に関連する記念日の竹島上陸は、韓国では“恒例の年中行事”になりつつある。