ロボット技術が未来を拓く-日本政府と産業界はそんな期待を持っている。しかし、新しい技術は時に人を不安にさせるのも事実だ。「Killer Robot」(殺人ロボット)。米テキサス州ダラス市で7月、警察官5人を射殺した犯人を殺害するのに用いられたロボットは、こう報じられ、少なからぬ衝撃を与えたようだ。一方、中国では武器を備えたパトロールロボットが誇らしげに発表されている。
新たな領域に
米メディアによると、ダラス市警察はプラスチック爆弾をロボットに積み込んで遠隔操作で犯人の元へ運び、爆破。米国内で初めてロボットが人の殺害に用いられた。同市警のデビッド・ブラウン署長は「ほかの方法では警察官に重大な危険が及ぶ可能性があった」と説明した。
米アトランティック誌(電子版)は、この判断を「前例のないこと」と報じ、「警察のテクノロジー利用は新たな領域に入った」とする専門家の見方を紹介した。これまで警察ではロボットを主に爆発物の処理などに使ってきたからだ。危険な場所を撮影したり、人質のために食料を届けたり、といった使われ方もするようになったが、攻撃的な場合でも催涙ガス弾の発射や、ドアの破壊などにとどまっていたという。