第3次安倍再改造内閣には、経済政策アベノミクスを“再点火”し、デフレ脱却への取り組みを加速することが求められている。足元の経済は個人消費や設備投資が力強さを欠き、世界経済は英国の欧州連合(EU)離脱問題などで下振れリスクが増す。働き方や産業構造の抜本的な改革を進め、成長力を底上げすることが急務だ。
平成24年12月の第2次内閣発足以来、首相が一貫して掲げてきたのは「経済最優先」。自民党は今年7月の参院選で「アベノミクスの再加速」を掲げて大勝し有権者から信認を得た。
ただ、経済の現状は賃上げに関わらず消費支出の低迷が続き、円高や海外経済の失速で企業の投資意欲は鈍い。
首相の指示で今月2日に決定した28兆円規模の経済対策は、こうした停滞感を打破するため抜本的な改革を進めることを重視。同一労働同一賃金など「働き方改革」を通じた将来不安の解消、消費の喚起や人工知能(AI)活用などで新産業を創出する「産業構造改革」を通じた生産性向上を明記した。
今後は硬直的な解雇ルールの緩和など、経済対策に盛り込まなかった、より徹底した改革を進めることが求められる。
国の借金が1千兆円超と、先進国で最悪水準にある財政の健全化も喫緊の課題だ。麻生太郎財務相は3日の会見で「経済を成長させ税収を増やす」とし、経済成長と財政再建の両立を強調したが、高齢化で膨らむ社会保障分野などでの歳出抑制の努力が必要となる。