安倍晋三首相は12日、バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長と官邸で会談し、英国の欧州連合(EU)離脱問題を受け、先行きがはっきりしない世界経済や、日本のデフレ脱却と持続的な成長に向けた政策に関して意見を交換した。
安倍首相は「デフレからの脱却は道半ばだ」と述べ、金融緩和と財政出動、成長戦略などの政策をさらに推進する考えを表明した。バーナンキ氏は「日本がデフレから完全に脱却し、健全な経済が本格的に戻ってくることを期待している」と語った。
金融市場では日銀の金融政策の手詰まりを指摘する見方が強い。バーナンキ氏は「金融緩和の手段はまだいろいろ存在する」と語り、追加金融緩和の限界を否定した。財政出動により、名目国内総生産(GDP)を引き上げることも重要だと強調した。
安倍首相の経済ブレーンで、会談に同席した浜田宏一内閣官房参与によると、バーナンキ氏は安倍首相の経済政策を「全体としてうまくいっている」と評価し、継続を求めたという。
バーナンキ氏は2006年から14年までFRB議長を務めた。08年のリーマン・ショック後の経済危機に対応し、国債などを買い取って市場に大量のお金を流す量的金融緩和を実施した。
議長就任前のFRB理事時代には、国民に直接お金をばらまく「ヘリコプターマネー」が日本のデフレ脱却に有効だと指摘したことがある。ただ今回の会談では言及はなかったとみられる。