【政策を問う】生産性高め実質賃金改善 日本総合研究所・湯元健治副理事長 (1/2ページ)

2016.7.5 05:00

(中村智隆撮影)
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 10日投開票の参院選は、各党が安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の是非をはじめ、雇用や税財政など、経済関連の幅広いテーマで激しい舌戦を繰り広げている。それぞれの政策の現状と課題、展望について、各分野の有識者に聞いた。

 「アベノミクス」の金融緩和で円安が進み、2014年4月には消費税率が5%から8%に引き上げられたことで消費者物価が上がり、それに賃上げが追いつかずに実質賃金は伸び悩んだ。日銀が掲げる2%の物価安定目標が実現するなら、実質賃金は下がっていく恐れがある。

 今年の春闘は、安倍政権の呼び掛けもあって3年連続で2%台の賃上げが実現したが、ベースアップ(ベア)は0%台にとどまった。賃上げの動きは一部に限定され、円安の打撃を受ける中小企業などは賃金を上げたくても上げられない状況だ。

 ベアが小幅にとどまった背景には、非正規雇用に対する需要が高いこともある。企業は人件費が正社員の6割程度で済む非正規を欲しがっている。

 日本では、正社員と非正規でかなり似通った仕事をしているのに、時間当たりの賃金の格差があまりにも大きい。全体平均で大幅な賃上げを実現するためには、賃金差を縮小する「同一労働同一賃金」の改革を進めないといけない。

 ただ、何をもって同一労働とみなすかという問題はある。「同じ価値を生み出す労働」という主張があるが、同じ価値をどう測るかなど定義は難しい。

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