経済産業省は16日、次世代エネルギーに期待される水素の利用拡大に向け行程表を改訂し、燃料電池車(FCV)の累積販売台数を2030年までに現在の1600倍となる80万台に引き上げる長期目標を盛り込んだ。燃料を供給する水素ステーションの設置も進め、25年度までに4倍の320カ所まで増やす。
FCVは水素と酸素の化学反応で生まれる電気で走るエコカーだ。メーカーがトヨタ自動車とホンダに限られるため販売台数は500台程度にとどまる。行程表では自動車メーカーの研究開発を後押しし、25年頃には普及価格帯(200万円程度を想定)モデルを投入して、低価格化で販売を拡大する。
水素ステーションは今年度内に100カ所まで増やす目標が約80カ所と未達で、普及が遅れている。建設費が1カ所あたり5億円程度と、ガソリンスタンド(1億円程度)に比べ高額なのが最大の障壁だ。政府は安価な海外製資機材も使えるよう規制見直しでコストを削減する。
このほか、都市ガスなどから水素を取り出し発電する家庭用燃料電池「エネファーム」は、20年頃に補助金に頼らず自立化を実現すると明記した。