政府は4日、ベンチャー企業の参入を促して国内の宇宙ビジネス拡大を目指す宇宙活動法など2法案を閣議決定し、国会に提出した。民間企業によるロケットや衛星の打ち上げ事業に許可制を導入、事故が起きた際の損害賠償の枠組みも整備する。2018年施行を目標としている。
宇宙ベンチャーが業界を牽引(けんいん)する米国などがお手本。宇宙航空研究開発機構(JAXA)だけを想定してきた従来の法制度を改め、民間が参入しやすい環境をつくる。政府は10年間で、5兆円規模の産業分野に成長すると期待している。
宇宙活動法案は、民間打ち上げ事業に許可制を導入。打ち上げ失敗などで衛星やロケットが落下して被害が出た場合に備えて、損害賠償保険に加入することを事業者に義務付ける。保険でカバーしきれない損害については国が一定額を補償する。
もう一つの衛星リモートセンシング法案は、商業衛星による画像データ提供に安全保障上の制限を設ける。戦車と乗用車を見分けることができる解像度2~3メートルより精細な画像などが対象。テロリストに悪用されるのを避けるため、事業者に提供先を限定させる。
衛星の小型化に加え、米スペースXなどの安価な打ち上げ事業によって、宇宙ビジネスの裾野が広がっているのが背景。国内でもベンチャー企業の参入意欲が高まっている。