足元の国内景気を下支えするため、追加的な経済対策を検討すべきだとする声が与党内で高まってきた。海外経済の減速に対する懸念の強まりに加え、来年4月には消費税再増税も控える中、2016年度補正予算案の編成で家計や企業をサポートし、個人消費や設備投資などを押し上げる必要があるとみているからだ。
麻生太郎財務相は23日の衆院財務金融委員会で、追加の経済対策について「必要だと判断すれば機動的に対応していく」と述べた。民主党の玉木雄一郎氏に対する答弁。麻生氏はまた、16年度に入ってすぐに経済対策の補正予算案を編成する可能性を問われ、「経済状況による」とし、柔軟に対応していく考えを示した。
もっとも、自民党内などでは、16年度予算案の成立後、速やかに景気対策を検討すべきだとする意見は急速に高まりを見せ始めている。景気の先行きに不安が広がっているためだ。
15年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は個人消費の低迷が響きが2四半期ぶりのマイナス成長に陥った。先行きも中国や米国経済の減速リスクが懸念される。しかも、来年4月には消費税率10%への再増税も控える。消費税率8%への引き上げで、ただでさえ消費が低迷する中で再増税すれば景気の減速は避けられない。大和総研の試算によれば消費税率10%への引き上げで、17年度の実質GDPを0.6%押し下げるという。再増税に耐え得る経済環境の整備は急務だ。