2016.2.4 05:00
講演後、参加者の質問に答える日銀の黒田総裁=3日、東京都内のホテル【拡大】
日銀の黒田東彦総裁は3日、東京都内で講演し、先月導入を決めたマイナス金利に関して「必要な場合、さらに金利の引き下げを行う」と述べ、マイナス幅の拡大による追加金融緩和を辞さない考えを示した。
日銀が掲げる2%の物価上昇目標に対し「本気で取り組んでいる以上、必ず実現する」と強い決意を表明。市場から大量の国債を購入する大規模金融緩和策にマイナス金利を加えた政策は「中央銀行の歴史の中で、おそらく最も強力な枠組みだ」と強調した。
黒田総裁は「中国などの新興国や資源国の先行きに対する不透明感が強まっている」と述べ、国内景気の持続的な回復に向け、減速感を強める世界経済が最大のリスク要因との見方を示した。「物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している」と懸念し、市場の金利を低下させ経済活動を活性化させるため、マイナス金利の導入に踏み切ったと説明した。
市場では、日銀の金融緩和策が限界に近づいているとの見方があるが、黒田総裁は「とても違和感のある表現」と反論。物価上昇目標の達成に必要なら、新たな枠組みを考えるとし「追加緩和の手段に限りはない」と語った。
中国経済に関しては、今のところ「実体経済は総じて安定的な成長を維持している」と分析。中国悲観論を発端とした年初からの株価下落は「やや過剰反応だったのではないか」と語った。
原油価格の急落も最近の市場混乱の要因になっているが、日本を含む先進国経済にはプラスの影響が大きいとし、「企業収益の好調さを支える要因の一つだ」と説明した。