2015年のBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は、総じて経済が振るわない1年だった。中国の景気減速が世界経済に冷水を浴びせるなど、これら5カ国の経済動向は国際的に大きな影響力を持つ。
16年のBRICSは、どんな船出となるのか。日本貿易振興機構(ジェトロ)の各国事務所が展望する。
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□ブラジル
■輸出構造改革と消費喚起が鍵
2015年のブラジル経済は、国内総生産(GDP)成長率が年初の見通し0.50%を大きく下回るマイナス3.62%に落ち込むとみられている。その背景には、14年後半以降の資源価格下落を背景とした輸出額の減少、経常収支や財政収支の赤字拡大に加え、通貨レアルの対ドルレート切り下げなどがある。通貨安はインフレ圧力を強め、高金利政策の継続、ひいては消費縮小、設備投資抑制という負のスパイラルを生み出した。
加えて、15年半ば以降、国営石油会社ペトロブラスの汚職問題などで、ジルマ・ルセフ大統領の求心力は低下し、連立与党内の対立とこれによる財政改革の遅れは、さらなる為替下落とドル建て国債の格付け低下につながった。GDP成長率がマイナスとなるのは、1993年以降では2008年9月のリーマン・ショックの影響による09年のマイナス0.2%のみだ。
16年のブラジル経済について、民間金融機関の予測を中央銀行が取りまとめた週次リポート「フォーカス」(12月11日付)によると、マイナス2.67%の成長にとどまる。