ロイター通信によると、VEBの経営悪化はさらに、ウクライナ東部の鉄鋼関連工場への約80億ドル(約1兆円)規模の融資が回収困難になっていることも要因という。融資はロシアの投資家を通じて行われたというが、鉄鋼価格は下落基調で融資額に見合わないとの指摘もあり、何らかの政治的意図があったのではとの憶測を呼んでいる。
支援総額として検討される1.3兆ルーブルは、今年のロシアの国家予算全体の1割近い額で、原油価格下落で悪化する経済の、さらなる重荷になることは必至。露金融筋は、VEBが融資した事業は「元から採算がとれないことが分かっていた」として、融資を承認した政権に経営危機の責任があるとの見方を示した。
【用語解説】開発対外経済銀行(VEB) ロシアの経済発展を目的に、政府が実施する各種の経済プログラムや事業への融資、産業支援などを行う銀行。政府が100%出資し、取締役会にはメドベーェフ首相を中心に財務相、経済発展相など主要閣僚らが参加している。