変化には何らかの摩擦がつきまとう。それが急であればあるほど、不協和音もまた大きくなる。大阪市の「グレートリセット(大改革)」を掲げた橋下徹氏の市政運営で、もっとも激しく対立した相手は職員労働組合だろう。自ら主導して市労使関係条例を制定、これまで慣例的に認められてきた組合への便宜供与を一切禁止した。反発する組合側は次々と法廷闘争を展開し、2審までの判断がおおむね出そろった。4年の任期を終えて引退し、橋下綜合法律事務所の弁護士として復帰を果たす橋下氏。選挙では抜群の強さを誇ったが、その市政改革に対する司法の星取はいかに。
「ギリシャを見よ」
「今までは組合が推したトップが当選してきたもんですから、それぐらいは許されてきたことがあるんでしょうけれども、僕は一切許しません。組合と今の市役所の体質についてはグレートリセットをして、一から考え直したい」
橋下vs組合のゴングが鳴ったのは、市長就任から1週間後の平成23年12月26日のことだった。
この日の市議会委員会で(1)市バスの営業所に勤務する大阪交通労働組合(大交)の幹部が、勤務時間内に組合活動を行っていた(2)市長選の対立候補だった平松邦夫元市長を支援するための「紹介カード」が庁舎内で配布されていた-と議員から指摘されるや、橋下氏は組合との対決を明言。庁舎内にあった労組事務所を立ち退かせる意向を打ち出した。