中国経済の減速懸念をよそに、中国人訪日客の爆買いの勢いは止まる気配を見せない。中国の建国記念日「国慶節」連休(10月1~7日)も、大阪の百貨店の免税カウンターなどでは店員らが中国人訪日客の対応に追われた。この商戦に合わせ、大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングが新たに導入したのが、中国人客向けのスマートフォン決済システムだ。店員と顧客の手間を軽減するだけでなく、現金、銀聯(中国の電子決済サービス)に続く“第3の支払い手段”として注目されている。(石川有紀)
中国最大のSNS
「WeChat? 知っているよ。スマホで支払いできたら、現金を持たなくていいから便利だね」
9月30日、大丸梅田店の化粧品カウンター。妹に頼まれた化粧品約6万円分を購入したシンガポール在住の台湾系男性(31)は店員から、この日導入されたばかりのスマホ決済システムの説明を受けると、早速興味を示した。
WeChat(ウィーチャット)は、無料通信アプリ「LINE(ライン)」と同様、チャットなどができる中国最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)として親しまれている。