交渉開始から5年、日本の参加から2年。難航してきた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉がついに終止符を打った。日米など交渉参加12カ国の背中を押したのは、今回を逃せば、交渉が長期にわたって漂流しかねないという危機感だった。アジア太平洋地域に21世紀型の経済秩序を築くTPPは経済と軍事の両面で中国を牽制(けんせい)する意味合いも大きく、地域の繁栄と平和を実現する原動力となり得る。
「今回はまさに最後の最後」
甘利明TPP担当相は今回の閣僚会合を大筋合意の最後の機会ととらえていた。カナダでは19日の総選挙で与党の劣勢が伝えられており、反TPPの野党が政権を握れば交渉のやり直しが避けられないからだ。
交渉は最後まで知的財産の新薬データ保護期間や乳製品の扱いで攻防が続いた。参加国の一部からは今回合意しなくても、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれる11月には再度会合を開けるとの声も聞こえた。