◆中国への抑止力強化
--防衛装備をめぐり米国とはどう協力すべきか
「防衛装備市場でそれぞれ米国は大きなシステム、日本はサブシステムや部品、IT、素材、繊維、ロボットなどを得意としており、日米は競争関係にはない。米国には、日本のいくつものデュアルユース技術に期待感がある。それをどう米国に売っていくかだけではなく、日米で役割を分担し、特にアジア諸国の能力構築面で両国が協力しつつ支援を進めることがこれからの大きなテーマになる」
「装備技術協力は安全保障協力と表裏一体の関係だ。同じ装備やコンセプトで作戦すれば、インターオペラビリティー(相互運用性)を向上させ、その分だけ防衛関係が強化される。このため、日米が同じF35という最新鋭戦闘機を取得して運用するだけでなく、今後は日米間で国際共同開発案件を増やしながら、できればアジアへのサプライチェーン(供給網)を作る必要がある。日米のサプライチェーンがなければアジアの安全保障が機能しないような枠組みを作ることが、日米のインターオペラビリティーを強化し、中国向け抑止力の強化につながっていくであろう。ともかく成功例を作ることも重要だが、既に動き出しているF35の企業参画や地域デポ(整備拠点)などの課題を着実に進めて、これを次の世代の戦闘機構想につなげていく努力をすることも大きな課題であろう」(佐藤健二)