電力大手10社で作る電気事業連合会や新電力(新規参入事業者)23社などの電力業界は17日、2030年度に温室効果ガスを13年度比で約35%削減する自主目標を正式に決めた。ただ、排出量の多い石炭火力への依存が高い新電力に配慮し、各社ごとの目標設定は見送られた。来年4月の電力小売り全面自由化後は販売競争の激化が見込まれ、目標の実効性をどう担保していくかが課題となる。
「非常にチャレンジングな目標だ」。電事連の八木誠会長(関西電力社長)は同日の会見で、こう述べた。
目標では、電力需要に左右されない販売電力量1キロワット時当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を、13年度の0.57キロから30年度に0.37キロ程度へ削減。原発が稼働していた東日本大震災直前よりも低い排出量に設定した。
総排出量は最大1100万トン減る見込み。八木会長は目標達成のため、原発再稼働や再生エネルギーの活用、石炭火力の高効率化を進める考えを示した。
電力大手と新電力が共同で環境目標をまとめるのは初めて。話し合いを始めたのは今年3月で、政府が今月16日に電源構成比率を決めたことを受け、最終的に確定した。加わった電力事業者は、販売電力量ベースで全体の99%に上る。