政府は12日、東京電力福島第1原発の廃炉に向けた中長期ロードマップ(廃炉工程表)を改定した。がれき撤去作業の遅れや追加の安全対策などを盛り込み、1~3号機の燃料貯蔵プールからの燃料取り出しの開始時期を従来の工程より最大で3年遅らせた。一方、溶け落ちた燃料(デブリ)の取り出し時期や、廃炉完了まで30~40年とする全体の工程は維持した。工程表は平成23年12月に策定され、改定は25年6月以来2年ぶり。
改定後の工程表では、今年度前半を予定していた3号機の燃料の取り出しの開始時期について、約30カ月遅らせて29年度とした。がれき撤去の際に放射性物質が飛散した問題や、機器の不調などで大幅に作業が遅れていた。1、2号機の燃料取り出しについても、線量低減など追加の安全対策を反映し、開始時期を29年度から32年度に変更した。
汚染水対策では、原子炉建屋などへの地下水流入で1日約300トンずつ増えている汚染水の発生量を、凍土遮水壁などを導入し28年度中に100トン未満にする。多核種除去装置(ALPS)で処理した後のトリチウムを含む水の処分に向けた準備を28年度前半までに開始する方針を掲げた。