インドネシア はびこる海賊版 薄い著作権意識 業界損失年500億円超 (2/2ページ)

2015.3.24 05:00

ショッピングモール内の海賊版DVD・CD販売店。日本の映画やテレビドラマもある=南ジャカルタ(横山裕一撮影)

ショッピングモール内の海賊版DVD・CD販売店。日本の映画やテレビドラマもある=南ジャカルタ(横山裕一撮影)【拡大】

  • 南ジャカルタの屋台で売られているマスク。日本などのキャラクターが無断で使用されている(横山裕一撮影)

 先月下旬、日本のコンテンツ海外流通促進機構が著作権啓発セミナーを西ジャワ州のパジャジャラン大学で開いた。法学部を中心に参加した約50人の学生からは「ネットでのダウンロードにも罰則があるのか」「日本では海賊版をどのように取り締まっているのか」などと質問が相次いだ。

 セミナーに参加した学生の一人は「著作権が大切なのは理解できるが、実用面でどうすべきか考えると難しい。インドネシアでもしっかりとしたシステムを構築してほしい」と政府の対応に期待を寄せる。

 ◆有名無実の法

 インドネシア政府は昨年、海賊版販売の取り締まり強化のため著作権法を改正し、海賊版販売店が入居するモールなどの施設管理者に対して約100万~4000万円の罰金を科すなど規制を厳しくした。しかし、約半年後の現在も各モールなどにある海賊版販売店は普通に営業されている。ある販売店員は規制強化について「知らない」と首を横に振り、「最近はネットで無料ダウンロードする人が増えたから、客が減った」とこぼす始末だ。

 インドネシアの著作権専門家は「インドネシアでは著作権の法整備は十分だが、肝心な法の実施が伴っていない」と指摘する。

 ここ数年、経済成長とともにインドネシア映画界は質、量ともに活性化しており、著作権の保護は急務だ。また、根強い人気を誇る日本のアニメキャラクターなど、インドネシアでの著作権ビジネスの潜在力は日本の業界関係者にとっても大きいだけに、インドネシア当局の行動力が求められている。(在インドネシア・フリーライター 横山裕一)

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