政府は19日、安倍晋三首相が今夏に発表する戦後70年談話に関する有識者会議の座長に西室泰三日本郵政社長(79)を起用する方針を固めた。座長代理に北岡伸一国際大学長(66)を充てるほか、山内昌之東大名誉教授(67)ら歴史学者や女性も含むメンバー十数人で構成し、来週にも初会合を開く。6月までに報告書をまとめる。
座長に就任する西室氏は東芝社長などを経て、日中両国の有識者が双方の関係のあり方などをめぐり意見交換する「新日中友好21世紀委員会」の日本側座長も務める。
北岡氏は日本政治外交史の専門家で、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」でも座長代理に就任し、昨年5月に集団的自衛権の行使容認をはじめ新たな安全保障法制のあり方を首相に提言している。
戦前生まれの西室氏を座長に据える一方、首相のブレーンの一人とされる北岡氏を補佐役の座長代理に置くことで、談話がバランスに配慮した内容になるとのメッセージを内外に発信する狙いがありそうだ。
首相は、過去の植民地支配と侵略を謝罪した平成7年の「村山富市首相談話」の文言をそのまま引き継ぐことは否定しており、有識者会議の議論や報告書を踏まえ、談話を作成する。
安倍首相は18日の参院本会議で、談話に関し「戦後50年の村山談話、60年の小泉(純一郎首相)談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として今後も引き継いでいく」と答弁している。