■訪日中国人はなぜ「爆買い」するのか
日本政府観光局(JNTO)によれば、2014年の訪日外国人の数は1341万3600人、前年比29.4%増と大きな伸びを見せた。また観光庁が1月20日に発表した「訪日外国人消費動向調査」の2014年1年間の速報によると、1人当たり旅行支出額は15万1374円(同10.7%増)で、これに人数を掛け合わせた旅行消費の総額は2兆305億円(同43.3%増)となった。いずれも過去最高の数字である。「日経MJヒット商品番付」で「妖怪ウォッチ」や「アナと雪の女王」を抑えて、「インバウンド消費」が東の横綱にランクされたのも、そのインパクトの大きさを物語るものであろう。
◆笑顔なき握手で不買解禁
中でも突出しているのは中国人旅行客である。人数では240万9200人(前年比83.3%増)で韓国、台湾に次いで第3位だが、1人当たり旅行支出額は23万1753円(同10.4%増)、旅行消費額の合計では対前年2倍を超える5583億円となった。全体の4分の1を超える規模である。中国人旅行客の消費額を費目別にみると買い物代が50%以上を占めており、いわゆる「爆買い」がインバウンド消費を大きく押し上げたことがわかる。
円安効果だけでなく、免税品の範囲を拡大したこと、また訪日中国人のビザ(査証)発給要件を緩和したことがこのような状況を生み出したことは周知のことだ。さらにこれを後押しする重要な出来事が昨年11月にあった。