政府は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」とみられるグループによる日本人殺害警告から一夜明けた21日も厳戒態勢を敷き、現地情報の収集や分析を続けている。
中東諸国や欧米各国に人質解放への協力を要請する一方、安倍晋三首相が表明したイスラム国対策の資金拠出が非軍事の人道支援であることを強調し、犯行グループの軟化を促したい考えだ。外遊していた首相は日程を短縮し、同日午後に帰国する。
外務省の斎木昭隆事務次官は21日午前、記者団に対し「情報収集、各国との連携、各国への協力呼び掛けをしている状況だ。事実関係の確認を引き続き行っている」と述べた。外務省は引き続き人質となっている日本人2人の確認作業や居場所の特定を急いでいる。
英国入りした岸田文雄外相は20日夜(日本時間21日午前)、フランスのファビウス外相、米国のケリー国務長官とそれぞれ電話会談し、情報収集や早期解放に向けた協力を求めた。
首相は20日夜(日本時間21日午前)、エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナの中東歴訪を終え、イスラエルのベングリオン国際空港から政府専用機で帰国の途に就いた。羽田空港に到着後、直ちに官邸に入り、菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官らから報告を受ける。
自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長らは21日午前、都内のホテルで会談し、日本人殺害警告に対する政府対応を全面的に支援することを確認した。