【ワシントン=小雲規生】ニューヨーク・マーカンタイル取引所で5日、原油先物相場が急落し、指標となる米国産標準油種(WTI)の2月渡しの価格が一時1バレル=50ドルを割り込んだ。50ドル割れは2009年4月末以来、約5年8カ月ぶり。
石油輸出国機構(OPEC)を主導するサウジアラビアが欧米向けの輸出価格を切り下げたことなどから、産油国での減産が進まないとの観測が広がったことが要因だ。
2月渡しの終値は前週末比2.65ドル安の1バレル=50.04ドル。原油価格は2008年のリーマン・ショック前に付けた史上最高値(147.27ドル)の約3分の1になったかたちだ。市場では心理的な節目である50ドルを割り込んだことを受け、「数カ月のうちに30ドル台に入る可能性もある」(米系投資ファンド)との声も出ている。
原油安の要因のひとつが世界的な原油の供給過剰だ。サウジアラビアは同日、欧州向けと米国向けの原油販売価格の引き下げを発表。「サウジは原油市場でのシェア確保を優先させており、価格維持のための減産には踏み切らない」(市場関係者)との見方が拡大した。