□キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・山下一仁氏
14日投開票の衆院選では、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をはじめとする通商政策も争点の一つとなる。世界貿易機関(WTO)の前身である関税貿易一般協定(ガット)の貿易交渉、ウルグアイ・ラウンドに農林水産省のガット室長として携わった経験を持つキヤノングローバル戦略研究所研究主幹、山下一仁氏に通商政策や農業政策の在り方を聞いた。
--第2次安倍晋三政権の通商政策をどうみるか
「TPP交渉への参加は評価できる。ただ、国会がコメなど農産品の重要5分野の関税を守ると決議したことは残念だ。5分野を守るために、米国から自動車の関税で譲歩を強いられる事態となった」
--豪州との経済連携協定(EPA)交渉は大筋合意した
「長く続いた交渉をまとめ上げたことは大きな成果だ。日本はTPPのほか、欧州連合(EU)とのEPA、中国やインドなどとの東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉も進めている。メガFTA(自由貿易協定)が加速する中、日本は全ての交渉で中心的な立場にあり、交渉をリードするには農産品の関税で譲歩する姿勢も欠かせない」