自民党税制調査会の野田毅会長は11日、産経新聞の取材に応じ、麦芽比率などに応じて異なるビール類の酒税について、段階的に税率を見直す方針を、平成27年度与党税制改正大綱に盛り込む考えを明らかにした。税率の高いビールは減税とする一方、発泡酒や第3のビールは増税する方向で検討し、ビール類の税収全体は変わらないよう制度設計する見通しだ。税率の見直しで、ビール業界は販売戦略の変更を余儀なくされる恐れがある。
ビール類の350ミリリットル缶当たりの酒税額は、ビールが77円▽発泡酒は47円▽第3のビールは28円-で、ビールと第3のビールの税額には49円の差がある。野田会長は「本当はビールが飲みたいのに、安い代用品で我慢する人も多く結果的に税収まで落ちている」と問題点を指摘した。
その上で「ビールを減税し、そのための財源をビール類全体の中で考えるのが常識だ」と強調した。
税率見直しの際には、メーカーの商品開発に与える影響に配慮し「方向性を決めた上で、各社が対応できるよう手順を踏むことが大事」と指摘した。12月に策定する27年度税制改正大綱に方向性を盛り込み、実施までに猶予期間を設ける考えを示した。
また野田会長は、消費税率10%時点で廃止となる「自動車取得税」に代わって導入する新税「環境性能割」を、軽自動車にも適用する方針を明らかにした。
環境性能割は燃費に応じて課税する仕組みで、26年度の税制改正大綱で普通自動車に適用する方針が示された。野田会長は「軽自動車も当然、適用の対象になる」と述べた。
自動車取得税は、車体価格に対し普通車で3%、軽で2%が購入時に課されている。現在はエコカー減税として取得税を軽減しており、同様の役割を引き継ぐ目的で普通車では環境性能割の適用が決まっていた。エコカー減税は軽にも適用されており、普通車と同様の扱いが適当と判断した。
一方、法人税の実効税率(標準税率34・62%)の引き下げ幅については「5年で5%を目指したい」と述べ、32年度までに、ドイツ並みの税率29%程度を実現したいとの意向を示した。